主語が省略される古文で、敬語だけが「誰が誰に何をしたか」を明かす。見奉る/申し奉る/仰せらる/仕うまつるを実文で分解し、尊敬・謙譲・丁寧の三層と重なり方から主語を推定する手順を固める
Step 1 / 23 · 概念 · 必修小テスト 0/6
頻出度 ◎。古文は主語を書かない。だから現代語訳の選択肢問題の多くは、実は敬語を見る問題です。動詞の意味が分かっても、誰が誰にしたことか分からないと訳を選べません。
| 種類 | 誰を敬うか | 主語の姿 |
|---|---|---|
| 尊敬語 | 動作をする人 | 主語が目上(帝・中宮・上達部) |
| 謙譲語 | 動作を受ける人 | 主語が目下、相手が目上 |
| 丁寧語 | 聞き手 | 主語の身分は分からない |
この三つのうち、主語を確定できるのは尊敬と謙譲だけです。丁寧語(侍り・候ふ・さぶらふ)は聞き手への礼で、話者の身分を教えてくれますが、動作主の身分は教えてくれません。ここを混ぜると「侍る=偉い人がする」という誤解になります。
御硯の墨すれ」と仰せらるゝに、目はそらにのみにて唯おはしますをのみ見奉れば
この一文に、尊敬「仰せらる」、尊敬「おはします」、謙譲「見奉る」が同時に出ます。つまり動作主が二人いる——皇族の方が命じ、語り手側が見る。敬語が主語を分けて見せてくれる典型で、この課はこれを分解できるかどうかなのです。
現代日本語の「〜されます/〜いたします」は尊敬と謙譲の区別が曖昧です。ところが古文は語彙で分ける。「給ふ」は尊敬、「奉る」は謙譲で、両方とも「差し上げる/なさる」に寄って見えます。だから語感で決めず、語彙表で決める訓練がいります。