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学习·高二 · 古典探究 I

助動詞「まし」— 反実仮想・願望・推量の過去

已然形接続の「まし」を反実仮想・願望・詠嘆に訳し分ける。打消「ざり」や存続「なり」との重なり、後続の「ば」「ものを」が作る二段構えを、蔵書の公版文で決める

Step 1 / 21 · 概念 · 必修小テスト 0/6

なぜ「もし〜たら」が感情になるのか

頻出度 ◎。現代語の「〜たらよかったのに」に当たるのが、古文の助動詞「まし」です。訳を「もし〜たら」に固定すると、この語の用いている情感が消えます。

三つの顔

用法意味訳
反実仮想現実に反する仮定〜だったろうに
願望・詠嘆叶わないことを惜しむ〜たいのに/〜ことよ
推量の過去昔の話として見込む〜だったのだろう

助動詞は未然形に付くものが多い中で、「まし」はめずらしく已然形に付きます。已然形は「すでにそうなった」を表す形なので、その上に仮定を立てると、実際にはそうなっていないという反実が生まれる——これがこの語の仕組みです。

枕草子の中心例

年立ちかへるなどをかしきことに歌にもふみにも作るなるは、猶春のうちならましかばいかにをかしからまし。

前半で「春のうちなら(もし春のころなら)+ましかば」と仮定を立て、後半「をかしからまし」で感情に着地します。扱いの現実は春ではない季節の紅葉なので、起きていないことを惜しむ話です。仮定と着地の二段で一つの文ができる、というのが「まし」のかたちそのもの。だから訳も「もし春のうちにあったなら、さぞ面白かっただろうに」と二層にしてやる必要があります。

書庫にある実例

「古典探究」経験過去「き」と伝聞・詠嘆「けり」の識別

伊勢物語初冠去阅读 →

うゐかぶりして。ならの京かすがの里にしるよしして。

昔、ある男が成人式をして、奈良の京の春日の里に、縁があって、狩りに行った。

本課の要点:「往きけり」= 伝聞過去(物語冒頭の定型 — 語り手が伝え聞いた話として語る)

竹取物語かぐや姫の生ひ立ち去阅读 →

今は昔竹取の翁といふものありけり。

今からすると昔のこと、竹取の翁という者がいた。

本課の要点:「ありけり」= 同じく伝聞過去。物語冒頭「昔〜ありけり」は日本古典の定型表現