一語に二つの音を掛ける掛詞と、上の語から連想される語を寄せる縁語を、古今集・万葉集の公歌で判別する。景物の描写が情へ転がる仕組みとして読み、訳に両方の意味を残す訓練をする
Step 1 / 21 · 概念 · 必修小テスト 0/6
頻出度 ◎。三十一音に複数の話を収めるため、和歌は一つの語に二つの意味を立てる技法を発達させました。それが掛詞と縁語です。h3-1 の枕詞・序詞が掛かりの問題だったのに対し、こちらは語が担う内容の数の問題になります。
| 技法 | 仕組み | 訳の扱い |
|---|---|---|
| 掛詞 | 同音の二語を同時に指す | 両方の意味を残す |
| 縁語 | 上の語から連想される語を寄せる | 連なりとしてひと続きに訳す |
竜田河錦おりかく神な月しくれの雨をたてぬきにして
「錦」は散り積もって川面を染める紅葉と、織物としての錦の両方を指します。どちらか一方に決めず、「錦を織り隠すような」と二重に残すのが作法です。
山里は冬そさひしさまさりける人めも草もかれぬと思へは
「草」の縁で「かれぬ」を選び、さらに人の世の気配まで枯れたと言います。縁語は単一の語ではなく、連なって一つの気分を作る技法です。
掛詞は音の一致、縁語は意味の連想です。掛詞は二つの意味を同時に成立させ、縁語は語と語を系で結びます。訳で片方だけ拾う、または個別に訳すと、歌のリズムと情の転がりが消えます。
「古典探究」和歌の表現技法を実作で読み解く