特定の語を導く二つの技法を、掛かる語との距離で判定する。枕詞は訳から外し、序詞は掛かる語にまとめて訳す。万葉集の公歌で骨格を取り、掛詞・縁語(h3-2)へつなぐ
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頻出度 ◎。和歌の修辞は名称を問うより、その語が意味に参加しているかを問われます。枕詞と序詞はどちらも後ろの語を引き出す仕組みですが、訳し方は正反対です。
| 技法 | 掛かる語との距離 | 意味への参加 | 訳し方 |
|---|---|---|---|
| 枕詞 | 直前の五音 | 原則しない | 訳に出さない |
| 序詞 | 上句全体から長く | 導く過程そのもの | 掛かる語に寄せる |
居明かして君をば待たむぬばたまの我が黒髪に霜は降るとも
「ぬばたまの」は直後の「黒髪」だけを導き、五音で枠を埋めています。だから訳は「私の黒髪に霜が降っても」でよく、「暗い黒髪」と足す必要がありません。
かくばかり恋ひつつあらずは高山の磐根しまきて死なましものを
一方こちらは、「高山の磐根しまきて」が下句の「死なましものを」へ長く掛かります。景物を別々に訳すと決意と繋がらなくなるので、掛かる語を軸にひとまとまりに訳します。
和歌は三十一音に意味を詰めるため、枠を埋める語(枕詞)と意味を作る語(序詞)が同居します。この区別は h1-6 でやった係り受けの作業そのもので、掛かる語を決めて外すか寄せるかの二択です。次課の掛詞・縁語は、さらに一語に二役を負わせる技法になります。